先入観の危うさ11(星)
長く投稿できない状況が続いていましたが、殆(ほとん)ど書き終えた記事が幾つか眠っています。
そこで、少しばかり書き改めて投稿することにします。
え、・・手抜きとの声が・・・・
( ̄へ ̄; ムムム
良いんです。
管理人の気分で書いてるんです。
<( ̄^ ̄)>
それはさておき・・・・
多くの人が先入観で判断してしまう理由は、答えのないことに対して不安を抱くことが原因なのだろうかと考えるようになりました。このシリーズの最初の投稿で取り上げました浮気の話でも、自分の亭主が浮気しているのではないかとの不安感から日常とは異なる僅かな変化を浮気の証拠として考えてしまう理由ではないかと考えました。その不安感の原因を更に考えますと、失うことに対する恐れであると言えます。
失う事への恐れとは、執着であると言えます。執着を断つことは、お釈迦様の根本的な教えであることから、お釈迦様が否定した六師外道の話や捨置答を取り上げてみましたが、どうも論点がぼやけしてしまった気がしています。お釈迦様の答えは、無用な議論などすることなく、修業に励めと実に明快な答えとも言えますが、それは悟れと言われているのと同じであり、迷いの中で生きている我々には、門前払いを受けたのと同じ気分になるのではないかと思います。
悟れと言われても俗世の世界に生きる凡夫にとっては至難の業であり、とても出来ない話です。管理人にしても、精神世界に興味を持った理由は、自分の身の回りに起きている不可解な現象が何かを知りたかったことが理由であり、平凡でも小さな幸せを求めていただけでした。お釈迦様ならば、悟りを得ることですべての問題は解消すると言われるのかもしれませんが、出家して修業しなければ、問題が解消するとしても出家できない人間はどうなるのかとの疑問が消えませんでした。
その意味では、形而上学的な問いに対して答えることを拒絶したお釈迦様の立場に近いのですが、少しばかり異なります。そのことをどのように表現すれば良いのかと考えていたのですが、図解クラウゼヴィッツ「戦争論」入門を読んでいた際に下記のような一文を見つけました。
◎理論は観察たるべく、教養たるむべからず
特筆すべきことは、彼はその研究にあたって、観念論を排し現実を重んじたことである。すなわち、まず弁証法的な思考によりある一定のルール/理論を組み立て、そのルールを戦史の実例をあてはめて検証するという演繹と帰納をフィードバックさせる方法をとった。彼はこのことについて「理論は観察たるべく、教養たるべからず」との名言を残している。
図解クラウゼヴィッツ「戦争論」入門 是本信義著 P20
実は管理人が心霊現象について考える際の思考は、この考え方に似ています。管理人の場合には、経験則などから仮説を組み立て、実例に当(あ)て嵌(は)めて検証する方法を基本としています。勿論、検証と言っても心霊現象が検証不可能なことであることから限界はありますが、心霊現象に限らず、仮説と検証の繰り返しが基本的な考え方です。クラウゼヴィッツの「戦争論」は軍事学の世界においては有名な名著であり、管理人がそのクラウゼヴィッツの思考に及ぶはずもないのですが、基本的な考えは同じです。
例えば、「男には誰にでも浮気願望がある」と言う人は少なくありません。確かに世の中には浮気をする男性は少なくなく、浮気や不倫の話を聞くことは少なくありませんが、それを根拠に「男には誰でも浮気願望がある」と断言は出来ないと思います。管理人の友人の中にも風俗に興味もなければ、浮気にも興味のない友人も何人かいます。その逆に浮気を繰り返している友人もいます。勿論、どんなに深い付き合いをしていても相手の心の中をすべて知ることは出来ませんが、浮気願望があるとは思えない友人も存在しています。そのため、「男には誰にでも浮気願望がある」との仮説は信頼に足るとは思えません。
また、商売において大切なことは〇〇であると強い信念を持つ経営者は少なくありませんが、管理人からするならば世の中に数多くある成功論の一つにしか過ぎないと思う事が大半です。良心的な商品を低価格で販売したとしても売れるとは限らず、お客様本位でサービスを提供していても成功できるとは限りません。ある地域で成功を収めた方法論が別の地域では失敗することは珍しいことではなく、10年前ならば成功の鍵となった方法も衰退の原因となることも珍しくありません。
例えば、あるジュースの製造者がここまで品質の高い材料を使用しているのにどうして売れないのか分からないとの話が新聞に記載されていたことがありました。そのジュースを買ったとはありましたが、美味しいけど価格を考えると次はないとの印象しかありませんでした。つまり製造者は最高の品質であり、低価格と考えていても、消費者からするならば、それだけの価値を認めることが出来なかったと言えます。この場合には、これだけの品質の高い材料を使用しているとの自負が判断を誤らせたと言えます。
また、商品の種類が多過ぎるとお客はどれを買うべきか迷い、結局どれを買うべきか決められないとの法則がありますが、消臭剤の場合には香りの種類が多い方が売り上げが伸びる法則があると言われています。この2つの法則は明らかに矛盾する法則ですが、どちらも間違いではありません。つまり一つの法則が正しいとしてもそれが常に正しいとは限らないと言えます。しかし、世の中の多くの人は、成功体験があれば、その成功体験から導き出せる法則が、絶対的な法則であると信じる傾向があります。
まとめますと、先入観を持つ理由は、誤った情報や不安感であると言えますが、先入観を持つと判断を誤りやすくなります。それを防ぐためには、観念論に縛られることなく現実を直視すべきと思われます。クラウゼヴィッツの「理論は観察たるべく、教養たるべからず」は、観念論だけで考えることの危険性を警告する言葉となります。しかし、困ったことに多くの人は、観念論に陥っていることに気付かないと言えます。
その理由を考えますと、自分の限られた体験や狭い視野の中だけで考えていることが原因ではないかと思います。自分とは全く異なる価値観、自分とは全く異なる思考が存在していることを前提にして考えることは楽ではありません。そのため、観察と分析が重要となりますが、自分の思考の枠に囚われていたならば、何の意味もありません。例えば、元暴走族の方が社会的に成功されても考え方であっても暴走族の思考から抜け出せていないと感じたことがあります。それだけ先入観を排除することが難しいと言えますが、常に先入観を捨てて客観的に分析することを心掛ける必要があると言えます。
星
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at 14:25, 星 良謙・子授け地蔵, 心の健康
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