目先の利益(星)
先週のことですが、プリンターとスキャナーの複合機を購入しに家電のお店に行ってきました。あれこれ品定めをした後に店員さんに詳しい説明を求めたむところ、売り場の大半の商品が品切れでした。
( ̄Д ̄;) ガーン
入荷も未定との話であり、仕方なく展示品限りの商品を購入しました。
本当は、FAXもついた複合機にしようかと考えていましたが、スキャナーは故障、プリンターはそろそろ寿命化と思われることから妥協です。
聞けば、中国の工場が軒並み閉鎖されていることや洪水の影響で入荷が止まっていることが原因との話でした。
今更ながら家電製品が中国頼りになっていることを思い知らされました。
これも家電メーカーが目先の利益を追い求めて中国に進出したことが原因と言えます。
今から20年以上前からチャイナリスクは言われていたのに、財界と呼ばれる企業の経営者はチャイナリスクを全く考えていないようです。
と言う訳で、今回は目先の利益を追い求めることの弊害を取り上げます。
このことについて月刊Hanada 7月号に面白い記事がありましたので、引用します。
日本の観光業界の弱いところは、いつも「ブーム」で終わってしまうことです。これまでの高度成長期から修学旅行ブーム、団体旅行ブーム、スキーブームなど「ブーム」を繰り返してきた。いまのインバウンド需要も、ブームで終わってしまう危険があります。
たとえばスキーブーム。一時期は皆ものすごい勢いでスキーに行っていましたが、ピークを過ぎると沈んでいってしまいました。
なぜ、海外のスキー市場は維持されているのに、日本だけがブームで終わってしまったのか。それは、日本の観光業界が目先の数字ばかりを追い続けているからです。
目先の数字を追い続け、前年比プラスを目指してどんどんお客様を呼び込む。しかし、ある時点でお客様を呼び込み過ぎて、道路は渋滞、ゲレンデも混雑し、お客様の満足度がピークアウトする瞬間が訪れます。私はこれを「キャリングキャパシティ(環境容量)を超える」と呼んでいます。
お客様の満足度は落ちているのにもかかわらず、前年度比をプラスにすることが目標になっていますから、お客様を入れ続け、ますますお客様の満足度は下がる・・・・という悪循環に陥(おちい)り、次第にお客様が離れ出す。あとから、お客様の満足度が下がったことに気づいても、時すでに遅し。そこからリカバリーするのは難しい。
これがブームで終わってしまうメカニズムです。
月刊Hanada 7月号 P242-P243 観光業界の未来は明るい 星野リゾート代表 星野佳路
この目先の利益を求めることの弊害は、若い頃から随分と見てきました。将来のことなど考えることもなく、目の前の利益だけを追い求める経営者や管理職ばかりでした。「こんなことを繰り返していたならば、将来はない」と言っても聞く耳を持つ人は皆無でしたし、嫌なことを言うやつだとの烙印を押されて終わりでした。それだけならばまだ良いのですが、過去のデータを分析して説明しても無視するだけで、思考停止しているようにしか思えませんでした。
管理人が勤めていた会社は、そんな会社ばかりでしたので、いずれの会社も合併、倒産、廃業と会社としてはなくなりました。別に先見の明があったとうぬぼれる気持ちもなく、少し冷静に考えるならば分かるだろうと言いたくなるレベルの話ですが、それが理解できない人間が非常に多い気がします。その理由を考えますと、理解できないのではなく、理解したくないのではないかと思うようになりました。
会社の将来を考えるならば、目先の利益を追い求めるだけでなく、将来に対する備えも必要であり、将来の備えを考えるには、会社の将来について考える必要があります。更に会社の将来を考えるには、業界の将来について考える必要があり、業界の将来を考えるには、国の将来を考える必要があります。国の将来を考えるためには、国際的な動きについて考える必要があります。勿論、会社と言っても個人企業から大企業までありますので、どこまで真剣に考えなければならないかは、会社の規模によって異なります。
しかし、いずれにしても会社の将来について考えるには、国家レベルの思考が必要になると言えます。例えば、少子化や高齢化の問題は国の将来に関する問題ではありますが、個人の生活に間違いなく影響します。また、業種や地域によっては過疎化や物流の変化など様々な問題が企業経営に影響を与えます。そのため、5年・10年の単位で会社の経営を考えるならば、国の将来について考える必要があります。
これは何も国の将来を考えて政治活動に参加すべきであると言っているのではなく、この国がどのように変化するかを見極め、その変化にどのように対応すべきかを考える必要があります。例えば、結婚年齢の高齢化や少子化が売り上げに影響する業界であるならば、結婚年齢の高齢化や少子化にどのように対応すべきかを考える必要があります。また、情報網の発展や物流の変化が影響する業界などもあれば、生活様式の変化が売り上げに大きく影響する業界もあります。
次に業界の将来について考える必要があります。これは国の将来と重なる部分も大きいと言えますが、業界独自の事情もあります。例えば、生活様式の変化に伴う売り上げの減少、後継者不足、材料の入手が困難になったなど色々な業界独自の事情があります。また、近年は新聞の売り上げ減少や若者のテレビ離れが話題となっていますが、これも業界の事情と言えます。これらのことは個人商店であるか大企業であるかに関係なく影響を受けると言えます。
そのため、どのような経営規模であっても様々な影響を受けることから会社の将来を考える際には無視できないこととなります。それらの影響を考え、会社を取り巻く環境の変化や需要の変化を考えるべきなのですが、多くの経営者は将来のことよりも目先の売り上げや利益にしか関心がない印象があります。そして目先の売り上げや利益だけを追い求めるならば、どのような結果になるかと言えば、引用させて頂いた話となります。
引用させて頂いた話は、観光の話ではありますが、これは何も観光業界に限られた話ではなく、多くの業界に言える話ではないかと思います。目先の売り上げだけを追い求め続け、お客様の満足度や仕事の質の低下には関心もなく、市場の需要の変化などにも関心がないとなれば、売り上げが低迷するのは当たり前の話です。しかし、その当たり前の話を無視する経営者を数多く見てきました。また、今までと同じことを繰り返す単純再生産を繰り返すことや拡大再生産には熱心ではあっても今までのやり方を変えることには強い抵抗を示す経営者は少なくありませんでした。
これは現実世界に限られた話ではなく、神仏の世界でも同じような印象があります。神仏のお使いである眷属の方々が働かれる場合には、急激に売り上げが伸びることは珍しくありませんが、様々な矛盾が噴出することになり、売り上げの限界が訪れるだけでなく、お客の満足度が低下することになります。これに対して霊格の高い神霊が働かれますと、急激な売り上げの伸びは期待できませんが、会社の抱えている問題が少しずつ解消される動きとなり、着実な売り上げの伸びとなりますが、祈願や祈祷をして直ぐにご利益を実感できないと祈願や祈祷のご利益がなかったと思われる方も少なくないようです。
これを繰り返していると結果的に御客離れを起こします。つまり御客離れを起こす時期が早くなるだけの結果となります。これがご利益信仰の弊害なのですが、それでも目先のご利益を追い求める経営者は少なくないようです。
星
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at 21:28, 星 良謙・子授け地蔵, 経営
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