号令・命令・訓令(2)
〇高野山真言宗 常光円満院 水子供養の読経 般若心経〜地蔵真言 副住職:藤田晃秀 こちらから
〇高野山真言宗 常光 円満院HP こちらから
〇禅宗榮昌庵の出世地蔵尊 水子供養の読経 こちらから
こちらは曹洞宗のお寺のようです。
お寺などで水子を供養されるのが理想ですが、経済的な事情などから水子供養が難しい場合には、動画を視聴されることをお勧めします。
それはさておき・・・・
今回は、前回に続き、号令・命令・訓令の話を取り上げます。
前回は、各戦法の歴史をご紹介しました。ナポレオンが当時の主流であった号令戦法に対して命令戦法を採用することで打ち破りながらも訓令戦法の前に敗れ去ったことをご紹介しました。これだけを読みますと、号令戦法よりも命令戦法、命令戦法よりも訓令戦法の方が優れていると思われる方が多いかと思われます。
勿論、号令戦法よりも命令戦法、命令戦法よりも訓令戦法の方がより優れた戦法であると言えますが、正確には状況に応じて使い分けるべきと言えます。例えば、有能な指揮官が訓練度の低い兵士を指揮する場合には、号令戦法が効果的となります。命令戦法や訓令戦法が高度な戦法であるため、兵士の訓練度が低い場合には単純な命令である号令の方が、効率的となります。また、兵士の数が少なければ、指揮官が戦場の状況を把握しやすいことから指揮官が的確な指示を出すならば、号令戦法の欠陥が現れにくいと言えます。
これは企業ならば零細のような小規模な企業と言えます。社員が20人から30人程度ならば、経営者は社員一人ひとりに目が行き届きますので、経営者が的確な指示を出すことが可能ならば、会社は十分な実績を残すことが可能となります。また、市場が拡大して売り上げが右肩上がりの状況ならば、号令戦法の欠陥が現れにくいと言えます。
号令戦法に限られた話ではありませんが、社員数が20人から30人程度までの経営規模の会社が発展するかどうかは、会社の経営者の能力に大きく左右されてしまうのではないかと思います。但し、これは管理人の経験則であり、特に根拠はありませんが、経営者が的確な状況判断が出来るならば、経営は安定するだけでなく、発展する可能性が高くなりますが、経営者に的確な状況判断をする能力がないと一時的な繁栄は可能でも継続的な発展は難しいと思います。
過去に色々な経営者や管理職の方とお話させて頂く機会は多かったのですが、零細企業の経営者や中小企業の管理職に一番多いのが、この号令戦法であり、経営者や管理職の仕事は部下を叱咤激励することであると思っているのではないかと思わせるタイプです。営業の世界ならば、とにかく売ってこいの一点張りであり、売れなければ怒鳴り散らすしか能がないのではないかと思うことが少なくありませんでした。
戦後の高度成長期やバブルのような需要が拡大している時期ならば、部下を叱咤激励しているだけも実績を残すことは可能であったと思いますが、景気が悪化したり、需要が低迷し始めますと、部下を怒鳴り散らすだけしか出来ない経営者や管理職では限界となります。つまり、的確な状況判断が出来なければ、実績も景気に左右されることになります。
しかし、部下を怒鳴り散らすことしか出来ないタイプの経営者や管理職でも比較的安定した実績を残せる場合があります。それは部下に能力がある人材が揃っている場合です。経営者や管理職に的確な状況判断をする能力がなくても、部下が自分で状況判断をすることが出来る場合には、特に問題が起きないことも少なくありません。このような事例は、特殊な事例と思われるかもしれませんが、一昔前の問屋などはこんな会社ばかりでした。
30年、40年と言ったベテランが顧客との信頼関係を築き、その信頼関係で会社が成り立っていることが少なくありませんでした。このような場合には、少々の問題ならば、顧客との信頼関係で大事にならずに解決してしまいます。勿論、経営者はベテランを頼りにしますので、ある程度の裁量権を与えていることから、ベテランは問題を解決しやすいことが多いようです。
このような会社の場合には、ベテランと言う名前の個人商店が集まっているだけで、会社として機能しているかとなれば、少しばかり疑問です。しかし、タクシー会社の様に売り上げに応じて給料が支払われる歩合給の会社も個人商店の集まりのような側面があることから、一概に悪いとは言えませんが、経営は従業員の個人の能力に依存することになります。
会社が従業員の個人的な能力に依存するのは、零細企業の多くにみられる傾向であり、零細企業の場合には、新人を採用して育てるだけのゆとりがないことから即戦力となる人材に頼りがちであり、会社は従業員の個人の能力に依存し続けることになります。しかし、採用される側の新人からするならば、同業他社で経験を積んでいなければ、入社して直ぐに実績を残すことは難しいと言えます。そのため、従業員を採用しても直ぐに退社となり、慢性的な人材不足に陥ります。
それでも、経営者が従業員を引き付けることが出来るだけの魅力にあふれている場合には、少しばかり事情が異なります。従業員がこの経営者についてゆくならば、自分も成功できると思わせることが出来ると思わせるだけの魅力が経営者に備わっている場合、あるいは、経営者に従業員を魅了するだけの人間的な魅力が備わっている場合、または経営者が従業員に高額な報酬を支給する場合には、優秀な人材を確保することが容易となります。
さて、号令戦法に依存した経営は、従業員の個々の能力に依存した経営となります。そのため、優秀な従業員が揃っている場合には、経営者がなすべきことは、従業員の管理が中心となります。たとえるならぱ、鵜飼の鵜匠とも言うべき仕事となります。つまり鵜を束ねるのが仕事であるように従業員が働きやすい環境を維持することが仕事となります。しかし、優秀な従業員に恵まれていない場合や従業員を引き付けるだけの魅力を持てない場合には、命令戦法に依存した経営には限界があります。
能力のない従業員に能力以上の仕事を求めても実績を残せるはずもなく、時間をかけて人材を育てるしかありませんが、命令戦法に依存した経営者や管理職が陥りやすいのは、部下を叱咤激励することしか出来ないことです。業績が順調に伸びているときには、もっと出来ると言い、業績が低迷するならば、更に努力しろと怒鳴り散らす場合が少なくありません。これは、部下からするならば、一年中怒鳴り散らしているだけの話となります。このような状況が続きますと、従業員は不満を抱くようになり、経営者や管理職の前ではいかにも頑張っていますとの姿勢だけを見せて、手抜き仕事をするようになります。
では、どうすれば良いかとなりますと、時間をかけて人材を育成することであり、それが出来ない場合には、状況を見極めて指示を出すことです。業績が悪化していてるのであるならば、業績が悪化しているだけの事情があります。それが季節要因や経営努力ではどうにもならない問題であるならば、従業員を休ませることも必要となります。
号令戦法では、戦況を見極めて指示を出すことが重要であり、状況を見極めることが出来ない指揮官は、突撃を繰り返させることしか出来ない無能な指揮官であるのに対して、優秀な指揮官は状況を見極め、守りに徹することもあれば、積極的に攻めます。そして敵が崩れかけたならば、総攻撃で勝機をつかみます。
これは経営においても同じであり、業績が低迷しているならば、会社の置かれた状況を見極め、どんな手を打つべきかを考えることが必要となります。
星
at 12:41, 星 良謙・子授け地蔵, 経営
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