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号令・命令・訓令(2)

先日のことですが、久々に水子供養の動画を探しましたところ、下記のサイトが見つかりました。

〇高野山真言宗 常光円満院 水子供養の読経 般若心経〜地蔵真言 副住職:藤田晃秀 こちらから

〇高野山真言宗 常光 円満院HP こちらから

〇禅宗榮昌庵の出世地蔵尊 水子供養の読経 こちらから
こちらは曹洞宗のお寺のようです。

お寺などで水子を供養されるのが理想ですが、経済的な事情などから水子供養が難しい場合には、動画を視聴されることをお勧めします。

それはさておき・・・・

今回は、前回に続き、号令・命令・訓令の話を取り上げます。

前回は、各戦法の歴史をご紹介しました。ナポレオンが当時の主流であった号令戦法に対して命令戦法を採用することで打ち破りながらも訓令戦法の前に敗れ去ったことをご紹介しました。これだけを読みますと、号令戦法よりも命令戦法、命令戦法よりも訓令戦法の方が優れていると思われる方が多いかと思われます。

勿論、号令戦法よりも命令戦法、命令戦法よりも訓令戦法の方がより優れた戦法であると言えますが、正確には状況に応じて使い分けるべきと言えます。例えば、有能な指揮官が訓練度の低い兵士を指揮する場合には、号令戦法が効果的となります。命令戦法や訓令戦法が高度な戦法であるため、兵士の訓練度が低い場合には単純な命令である号令の方が、効率的となります。また、兵士の数が少なければ、指揮官が戦場の状況を把握しやすいことから指揮官が的確な指示を出すならば、号令戦法の欠陥が現れにくいと言えます。

これは企業ならば零細のような小規模な企業と言えます。社員が20人から30人程度ならば、経営者は社員一人ひとりに目が行き届きますので、経営者が的確な指示を出すことが可能ならば、会社は十分な実績を残すことが可能となります。また、市場が拡大して売り上げが右肩上がりの状況ならば、号令戦法の欠陥が現れにくいと言えます。

号令戦法に限られた話ではありませんが、社員数が20人から30人程度までの経営規模の会社が発展するかどうかは、会社の経営者の能力に大きく左右されてしまうのではないかと思います。但し、これは管理人の経験則であり、特に根拠はありませんが、経営者が的確な状況判断が出来るならば、経営は安定するだけでなく、発展する可能性が高くなりますが、経営者に的確な状況判断をする能力がないと一時的な繁栄は可能でも継続的な発展は難しいと思います。

過去に色々な経営者や管理職の方とお話させて頂く機会は多かったのですが、零細企業の経営者や中小企業の管理職に一番多いのが、この号令戦法であり、経営者や管理職の仕事は部下を叱咤激励することであると思っているのではないかと思わせるタイプです。営業の世界ならば、とにかく売ってこいの一点張りであり、売れなければ怒鳴り散らすしか能がないのではないかと思うことが少なくありませんでした。

戦後の高度成長期やバブルのような需要が拡大している時期ならば、部下を叱咤激励しているだけも実績を残すことは可能であったと思いますが、景気が悪化したり、需要が低迷し始めますと、部下を怒鳴り散らすだけしか出来ない経営者や管理職では限界となります。つまり、的確な状況判断が出来なければ、実績も景気に左右されることになります。

しかし、部下を怒鳴り散らすことしか出来ないタイプの経営者や管理職でも比較的安定した実績を残せる場合があります。それは部下に能力がある人材が揃っている場合です。経営者や管理職に的確な状況判断をする能力がなくても、部下が自分で状況判断をすることが出来る場合には、特に問題が起きないことも少なくありません。このような事例は、特殊な事例と思われるかもしれませんが、一昔前の問屋などはこんな会社ばかりでした。

30年、40年と言ったベテランが顧客との信頼関係を築き、その信頼関係で会社が成り立っていることが少なくありませんでした。このような場合には、少々の問題ならば、顧客との信頼関係で大事にならずに解決してしまいます。勿論、経営者はベテランを頼りにしますので、ある程度の裁量権を与えていることから、ベテランは問題を解決しやすいことが多いようです。

このような会社の場合には、ベテランと言う名前の個人商店が集まっているだけで、会社として機能しているかとなれば、少しばかり疑問です。しかし、タクシー会社の様に売り上げに応じて給料が支払われる歩合給の会社も個人商店の集まりのような側面があることから、一概に悪いとは言えませんが、経営は従業員の個人の能力に依存することになります。

会社が従業員の個人的な能力に依存するのは、零細企業の多くにみられる傾向であり、零細企業の場合には、新人を採用して育てるだけのゆとりがないことから即戦力となる人材に頼りがちであり、会社は従業員の個人の能力に依存し続けることになります。しかし、採用される側の新人からするならば、同業他社で経験を積んでいなければ、入社して直ぐに実績を残すことは難しいと言えます。そのため、従業員を採用しても直ぐに退社となり、慢性的な人材不足に陥ります。

それでも、経営者が従業員を引き付けることが出来るだけの魅力にあふれている場合には、少しばかり事情が異なります。従業員がこの経営者についてゆくならば、自分も成功できると思わせることが出来ると思わせるだけの魅力が経営者に備わっている場合、あるいは、経営者に従業員を魅了するだけの人間的な魅力が備わっている場合、または経営者が従業員に高額な報酬を支給する場合には、優秀な人材を確保することが容易となります。

さて、号令戦法に依存した経営は、従業員の個々の能力に依存した経営となります。そのため、優秀な従業員が揃っている場合には、経営者がなすべきことは、従業員の管理が中心となります。たとえるならぱ、鵜飼の鵜匠とも言うべき仕事となります。つまり鵜を束ねるのが仕事であるように従業員が働きやすい環境を維持することが仕事となります。しかし、優秀な従業員に恵まれていない場合や従業員を引き付けるだけの魅力を持てない場合には、命令戦法に依存した経営には限界があります。

能力のない従業員に能力以上の仕事を求めても実績を残せるはずもなく、時間をかけて人材を育てるしかありませんが、命令戦法に依存した経営者や管理職が陥りやすいのは、部下を叱咤激励することしか出来ないことです。業績が順調に伸びているときには、もっと出来ると言い、業績が低迷するならば、更に努力しろと怒鳴り散らす場合が少なくありません。これは、部下からするならば、一年中怒鳴り散らしているだけの話となります。このような状況が続きますと、従業員は不満を抱くようになり、経営者や管理職の前ではいかにも頑張っていますとの姿勢だけを見せて、手抜き仕事をするようになります。

では、どうすれば良いかとなりますと、時間をかけて人材を育成することであり、それが出来ない場合には、状況を見極めて指示を出すことです。業績が悪化していてるのであるならば、業績が悪化しているだけの事情があります。それが季節要因や経営努力ではどうにもならない問題であるならば、従業員を休ませることも必要となります。

号令戦法では、戦況を見極めて指示を出すことが重要であり、状況を見極めることが出来ない指揮官は、突撃を繰り返させることしか出来ない無能な指揮官であるのに対して、優秀な指揮官は状況を見極め、守りに徹することもあれば、積極的に攻めます。そして敵が崩れかけたならば、総攻撃で勝機をつかみます。

これは経営においても同じであり、業績が低迷しているならば、会社の置かれた状況を見極め、どんな手を打つべきかを考えることが必要となります。

at 12:41, 星 良謙・子授け地蔵, 経営

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号令・命令・訓令(1)

連休が終わったら今度は台風とか・・・・

今年は梅と桜が一緒に咲いたり、何やらおかしな天気が続いていますが、5月に台風の到来とは・・・・

異常気象と言ってしまえば、それまでなのですが、少しばかり心配しております。

それはさておき、今回も軍事関係の話題を取り上げます。

ナポレオン(一七六九〜一八二一)が、当時の列強諸国を打ち破ることが出来た要因は、彼がライン・スタッフ組織による命令戦法を採用したことであるとされています。個人的には、これが全てであるとは考えませんが、大きな勝因であったことは間違いないと思います。

ナポレオンの時代になりますと戦う軍隊は数万人から十数万人となり、戦場も広大になりました。そのため、作戦行動も複雑になりました。このような状況に対応するために、ナポレオンは、ライン・スタッフ組織を作り、号令戦法に依存する相手に対して命令戦法で打ち破りました。

ライン・スタッフ組織とは何かを書きますと、ラインとは業務の遂行に直接かかわる兵士のことであり、階層化されたピラミッド型の命令系統を持ちます。そのため、ラインの中にある指揮官は、上級者の命令を受け、下級者に命令して指揮して命令の実行に専念すべき組織です。これに対してスタッフとは、参謀のことであり、指揮官の補佐役のことです。参謀は指揮官が決断を下すための情報や資料を収集し、決断を実行するための命令を準備し、命令を伝達するための補助的な組織です。

これに対して、当時のヨーロッパの将軍はスタッフを持たず、攻撃は密集体形をとり、行動も単純でした。そのため、将軍は号令で指揮していましたので、号令戦法と呼ばれました。つまり、ナポレオンは命令戦法を採用することで、号令戦法を打ち破ったと言えます。

しかし、命令戦法で号令戦法を打ち破ったナポレオンは、訓令戦法に敗れることになるます。この訓令戦法とは、部下に大幅に権限を委譲し、独立して作戦ができるように情報・指揮・補給能力を部隊に持たし、主将は大方針を示すだけで、各部隊が自主積極的に作戦行動をする戦法です。

少し解説しますと、ナポレオンは、突撃・撤退と言った単純な号令だけで動く戦法に頼っている軍隊を相手に、指揮官の作戦で自分の部下を手足の様に動かす命令戦法で敵を打ち破ったと言えます。では、どうしてナポレオンがライン・スタッフ組織を作ったかと言えば、軍隊は大規模になり、戦場は広大になったことから軍隊にも複雑な行動が求められるようになったことに対応するためでした。

しかし、当時は無線もなければ、電話もない時代であり、ナポレオンが命令を伝える方法は馬しかありませんでした。ナポレオンは乗馬が得意であったことから戦場を疾走して指揮しましたが、乗馬で行動できる範囲が指揮することが出来る限界の範囲となりました。

それに対して最初はナポレオンに完膚なきまでに敗れたプロイセン(後のドイツ)は、敗戦の原因を研究し、ナポレオンを破る為の研究をしてライン・スタッフ組織と訓令戦法を採用しました。勿論、それだけではなく、フランス軍と同じように国民軍の創設や新戦法の採用なども採用しています。

その結果、ナポレオンに敵対した連合軍は、各方面軍が独自の権限を持ちながらも連携して戦うことで、次第にナポレオンを追い詰めることに成功しました。

勿論、現代は当時とは比較にならないほど、通信技術が発展していますので、ナポレオンが活躍した時代とは大きく異なりますが、営業の世界では同じようなことが繰り返されている気がします。

今でも「何が何でも売ってこい!」と気合と根性論だけを説く経営者が存在しているようです。これは号令戦法とも言うべき指導ですが、市場が拡大している状況では、意外と成功する方法です。需要が拡大しているならば、がむしゃらに働くだけでも仕事がまわることは多く、頭を使う事よりも体を使うことの方が優先される傾向があります。

しかし、市場が成熟したり、同業他社が命令戦法を採用し始めますと、号令戦法は伸び悩むようになり、次第にその限界が訪れ、通用しなくなり始めます。つまり気合と根性だけを頼りとした営業の限界であり、販売戦略や組織力が必要とされるようになります。そして命令戦法もより強力な組織力や機動力を持つ大企業が参入し始めますと、優勢であった命令戦法も衰退し始め、号令戦法に頼っている企業は淘汰される印象があります。つまり、訓令戦法の前に敗れ去ると言ったところです。

但し、これは一般論であり、次回は号令戦法、命令戦法、訓練戦法についてもう少し解説したいと思います。

at 09:49, 星 良謙・子授け地蔵, 経営

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統制の法則(星)

前回に続き、社員教育の資料集めの際に読み直した本を紹介します。
この本の著者の大橋武夫氏は、経営に関する本を多数出版されています。

大橋武夫 明治39年生まれ 元東部軍参謀 陸軍中佐

この本は初版が昭和53年と大変に古い本であり、既に絶版となっています。また、経営者向きに書かれた本ではありますが、本の内容の大半は軍事学であり、本の題名通り参謀の役割について書かれた本です。そのため、軍事学に興味のない方にはあまりお勧めできない本です。では、どうしてこんな古い本を取り上げたかと言いますと、軍事学の本ではありますが、経営の参考になる内容が数多くあることが理由です。

例えば・・・
 

(4)統制の法則
統制は心理的なもので、掴みどころがなく、それに成功するために最善の理論を立てることはむずかしいが、次の法則を充足させれば、だれでも一応その目的を達成させることができる。

 第一法則 成功する―利益をあげることのできない経営者やゲームに勝てないスポーツ監督にはついて来る者はいない。

 第二法則 利益を与える―鳥や獣でも餌をまけば寄ってくる。人を動かそうと思ったら、まず物を動かすべきである。

 第三法則 恐怖を与える―本人の意思に反して服従させる一番手っ取り早い方法は、その生命に危険を感じさせることである。

 第四法則 利益と恐怖を策応させる―利益と恐怖は統御(とうぎょ)の基本的二条件で、これほど効き目の早い方法はない。特にこの二つを策応させて併用すると、一層効果的である。例えば恐怖を与えながら、背後で利益をちらつかせるのである。

 第五法則 ヘッドの次にハートを狙う―人間は、その理性を働かせれば納得するが、さらに感情に訴えないと、これをゆさぶることができない。理性は、人間の考えに方向性を与えるが、これを推進するのは感情なのである。

P20


解説の必要のないほどの明快な法則ではありますが、これが実践できる経営者は既に成功していると言える法則であり、また悪魔の法則とでも言われそうな法則です。これに対して前回取り上げた「ディズニーの教え方」では、下記の様に書かれています。
 

社員1人ひとりがリーダーシップをもっている!
 ひと言でいえば、「だれも手抜きをしないから」です。社員1人ひとりが、ゲストの安全をまず第一に考え、最高のショーをを提供するために働いています。それが前述のような、多くの人の疑問や驚きにつながっているのです。

 では、どうして誰も手を抜こうとしないのでしょうか。
 ディズニーの上司や先輩は、後輩たちをよく見ています。しかし、四六時中見ていることは不可能です。ですから、手を抜こうと思えば抜けるのです。しかし、誰も手を抜こうとはしません。なぜでしょうか。

 それは、社員1人ひとりがリーダーシップをもっているからです。
 リーダーシップについては本文でくわしく説明しますが、「リーダーシップをもつ」とは、端的にいうと、「ホスピタリティ・マインド」(思いやり)をもって、人の模範となるように行動することです。
 ディズニーでは、日常的に、上司や先輩が、このようなリーダーシップをもって、後輩に接しています。
 その結果、後輩たちも、「あの上司や先輩のようになりたい」と、上司や先輩を模範に行動するように育っていきます。すなわち、社員1人ひとりが、上司や先輩と同じようにリーダーシップをもち、仕事に取り組むのです。

ディズニーの教え方 P8-P9


「参謀学」が何とも世俗的な法則とするならば、「ディズニーの教え方」は美しい言葉で埋め尽くされています。これは引用させて頂いた箇所だけでなく、「参謀学」は「ディズニーの教え方」に比べるならば、遥かに世俗的な話で埋め尽くされており、「ディズニーの教え方」は美しい言葉と感動的な話で埋め尽くされています。

これは、「参謀学」が基本的に軍事学の本であり、「ディズニーの教え方」がディズニーランドと言う遊園地の社員教育の本であることの違いが大きいのかもしれません。戦争は、命のやり取りであり、誤った判断をするならば、代償は味方の兵士の命となる世界であり、ディズニーランドは夢を売ることが仕事であり、戦争とは対極にあると言えます。

しかし、どちらが実践的かとなれば、少なくとも企業を前提にするならば、間違いなく「参謀学」の「統制の法則」だと思います。その理由は、アルバイトであっても働く人の多くは、労働の報酬を求めて働いているのであり、精神的に成長することを求めて求人に応募していないことです。

大半の人は、会社に安定した生活やよりよい生活をすることを求めます。「統制の法則」の「第一法則」にしても、働く側からするならば、自分の将来を託す価値のある会社であるか、この会社は将来発展するかの判断となります。また、「統制の法則」の「第二法則」にしても多くの人は、高いな報酬を得られるならば、少々労働条件が悪くても文句は言わないと思います。勿論、職場の環境や人間関係、社会的な貢献度などの要因も労働意欲に影響しますので、将来性や報酬だけで判断することは出来ませんが、精神的な成長だけでは人はついてこないのではないかと思います。

しかし、これが宗教の世界ならば、話は全く逆となります。在家の人ならば、宗教に現世利益を求めることは咎められるべことではありませんが、出家を志す人が世俗の権威や経済的な豊かさを求めて出家するならば、問題となります。宗教の世界において求められるべきは、精神的な成長であり、社会的な権威や経済的な豊かではありません。勿論、宗教家であっても一定の収入がなければ、生活を維持することは出来ませんし、修業の場である神社仏閣を維持することも出来なくなります。

話を戻しますと、「統制の法則」の「第三法則」と「第四法則」が出来るならば、腹黒い経営者と言われても社会的には、成功できるのではないかと思います。更に「統制の法則」の「第五の法則」が出来るならば、会社は発展すると思います。そして「統制の法則」の「第一法則」から「第五法則」までをすべて実践できたならば、カリスマ経営者になれると思います。

世の中には、色々な会社があります。占いの仕事をしていますと、色々な会社の内情を知る機会も多いのですが、社会的に問題があっても発展している会社の経営者は、この「統制の法則」を心得ているのではないかと思います。これは会社の社会的な貢献度とは関係のない一つの法則ですが、経営者ならば知っておいて損はない法則だと思います。

at 07:54, 星 良謙・子授け地蔵, 経営

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社員教育(星)

先日のことですが、社員教育の資料を集めていた際に、以前に「ディズーニの教え方」を買ったことを思い出しました。
「シリーズ累計70万部突破」の文字にひかれて買った本でした。
挿絵が多く、一時間もあれば、読み終わる本であることも売れている理由ではないかと思います。

改めて読み直しましたが、正直な感想は、( ̄〜 ̄;)ウーン・・・

評価に困る本ではありますが・・・・
買っておいて損はないのですが、大きな期待は禁物です。
この本の内容を実践して期待するような効果を得られるかとなれば、ほとんど無理だと思います。
しかし、良くも悪くも社員教育のマニュアル本の典型ではないかと思います。

ディズニーランドへは過去に2回ほど行ったことはありますが、1回目は仕事、2回目は付き添いであったこともあり、楽しかった記憶はありません。そのため、ディズニーランドのスタッフの教育がどの程度行き届いているのかは分かりませんので、この本を論評すべき立場にはないのかもしれませんが、最初に疑問を抱いたのが、次の内容です。
 

年によって異なりますが、1年間で約1万8000人いるアルバイトのうち半分近くの9000人くらいが退職していきます。

そのため、1年に3回くらい3000人近くのアルバイトを採用しなければなりませんが、推定で5万人以上の応募者が集まります。

P9 ディズニーの考え方 ―「人は経験で変わる!育つ!」


アルバイトならば人の出入りの激しさ避けられないと言えますが、1年で半分の人間が入れ替わるとなれば、アルバイトであるとしても定着率が低いのではないかと思います。この本のサブタイトルが「9割がバイトでも最高のスタッフが育つ」とあることからスタッフの半分近くが一年で入れ替わることになります。一年で社員の半分が入れ替わるとなれば、労働環境が劣悪な企業ではないかと思えてしまいます。

更に、3,000人の募集に対して50,000人の応募があるとなれば、競争率は16.6倍と恐ろしい競争率・・・・
そんな激戦を勝ち抜いて採用されたとなれば、当然の如くディズニーランドで働きたいとの強い意欲を持つ人が採用されているはずなのですが、1年で半分近くの人間が退社するとなれば、余程労働条件が劣悪なのでしょうか?

どんなに素晴らしい社員教育のシステムであっても、優秀なスタッフになる前に退社してしまうのでは、意味がないと思えてしまいますが・・・・

と、言うわけで、9ページ目で読む気をなくしてしまう本ではありますが・・・・

気を取り直して読み進みますと、この本の構成は「CHPTER_01 育てる前に教える側の「足場」を固める」「CHPTER_02 後輩との信頼関係を築く」「CHPTER_03 後輩とのコミュニケーション能力を高める」「「CHPTER_04 後輩のモチベーションを高める」「CHPTER_05 後輩の自立心・主体性を育てる」「CHPTER_06 予想外の感動を生み出す「ホスピタリティ」とはなにか」となっています。

書かれている内容としては、的外れな内容でもなく、参考になる内容であり、企業の経営者や人事担当者が喜びそうな話に満ち溢れています。しかし、この本に書かれた内容を実践して本当に人材が育つかとなれば、少しばかり疑問を抱きます。現実を無視した理論だけが独り歩きしているような気がします。もし、この社員教育システムが本当に優れた物であるならば、1年で半分近くの人間が退社することは起きないと思います。

ただ、この本の中で繰り返し説かれている企業理念を徹底して教えることの重要性は参考になります。従業員が企業理念を共有することで企業がより良いサービスを提供することが可能となります。その具体的な方法論の解説が、この本の内容であると言えます。そのため、アマゾンのレビューの中には、ブラック企業の経営者には読ませるべきではないとの意見もありました。

確かに企業理念の共有は、価値観の共有であり、悪く言えば、一種の洗脳とも言えますが、価値観を共有することは、決して悪いことではありません。普段、当然のように考えている基本的人権の大切さや法治主義、民主主義も価値観の共有です。つまり価値観を共有することが悪いのではなく、どんな価値観を共有するかが問題となります。

経営者がどんなに立派な企業理念を掲げても、社員がその経営理念を理解していなかったり、理解してても企業理念を共有してなければ、その企業理念は現実が実現されることはありません。また、企業理念を徹底させる話だけでなく、社員の指導や教育方法に関しても参考になることが多い本です。

結論としては、良くも悪くも社員教育のマニュアル本の典型と言ったところでしょうか?

at 08:58, 星 良謙・子授け地蔵, 経営

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机上の空論(星)


春日大社では式年造替のため、20年に一度の国宝である御本殿の特別公開と御本殿の磐座が初公開中です。5月31日までお縄れています。普段は立ち入りが出来ない御本殿前で参拝が可能です。
尚、ご祈祷を受けられますと、拝観料は不要となります。

公開時間 8:30〜16:45

春日大社 こちらから 

国宝 御本殿 特別公開 こちらから

それはさておき・・・・

投稿間隔が少しばかり空いてしまいました。m(_ _)m

このところ少しばかり資料集めに時間を取られていました。ある方から社員教育のご相談を受けました。本来ならば、社員教育の良書をご紹介すべきだったのてすが、思いつきませんでした。占い師の仕事は、雑多な知識が必要であることから経営書や心理学の本を読む機会もありますが、実践的な経営書や社員教育の良書となりますと出会っていません。

そこで、経営書や社員教育に関する資料を改めて探していたのですが、これと言った資料が見つかりませんでした。

α~ (ー.ー") ンーー 困った・・・

考えてみますと、占いの仕事はカードや易の表す抽象的な概念を具体的な事象に置き換える作業であると言えます。このように書きますと分かりにくいかもしれませんので、具体的な事例をご紹介します。

例えば、仕事でも恋愛でも良いのですが、下記の卦を得たとしてます。

火沢暌(かたくけい) 初爻変
易経には「悔いはなくなる。馬を見失うが、追わずとも向こうから戻ってくる。悪人でも心を広くして会えば問題はない。」とあります。
悪人 憎い相手のこと

火沢暌は、「暌(けい)」は、相背くことや反目することを表します。
上卦の火で動いて上がり、沢は低い方に流れることから相背くことを表しているとされます。
また、上卦の火(離)は中女を表し、下卦の沢(兌)は少女を表すことから中女と少女が同居して相背くことを表しているともされています。

「悔いはなくなる。」とは、内部で不和反目して意見が合わない状況であっても、相手が心を改めて悔いがなくなることを表します。
「馬を見失うが、追わずとも向こうから戻ってくる。」とは、頼るべき相手を失っても、相手は他に頼るべき相手がいないことから、いずれ戻ってくることを表します。
「悪人でも心を広くして会えば問題はない。」とは、心を広くして本来であるならば、憎しみを持つ相手に会うべきことを表します。

この卦は、一般的には広い心を持って災いを避けるべきことを表し、焦ったり、短気を起したりしますと失敗を起すことを表すとされていますが、依頼者の状況に置き換えて考える必要があります。

常識的に考えるならば、この卦を得た場合には、依頼者は誰かと反目していると解釈します。その相手とは誰かが最初に考えるべき問題となります。易経では、相手が心を改めて悔いがなくなるとありますが、実際の鑑定では、相手が悔い改めない場合もあります。また、頼るべき相手を失っても相手は他に頼るべき相手がいないことから、いずれ戻ってくることを表しているとされていますが、実際の鑑定では、単純に敵対しているだけの場合もあります。そのため、易経に書かれた状況と実際の状況が食い違うことは少なくありません。

これは、易経が儒教における聖典である四書五経の一冊であり、人生の知恵として書かれています。つまり、意見が対立している相手とどのように折り合うべきかの人生訓として書かれていることが原因であるとも言えます。では、易経の解説が役に立たないかと言えば、そうでもありません。得られた卦がどのような状況を表しているか、易経が何を説こうとしているのかを理解しているならば、依頼者の置かれた状況に置き換えることが出来ます。

これは経営書や社員教育の本でも同じではないかと思います。本の著者が想定するのは、一般論でしかなく、すべての状況を前提にすることは出来ません。そのため、どうしても抽象的な話となりやすい傾向になりやすいことは分かりますが、抽象的な話ばかりが並び、本当に役立つつのだろうかとの疑問を感じることが少なくありません。

 また、経営書では兵法や軍事学の理論が紹介されていることが多いのですが、経営書の中には戦略と戦術の区別すら出来ていないのではないかと思う本が少なくありません。戦略と戦術の区別すら出来ていないのですから、兵站(へいたん)の話など登場するはずもありません。一般の方には、兵站(へいたん)と言っても馴染みのない言葉だと思いますが、簡単に言えば後方支援のことです。しかし、軍事学においては、「素人は戦略を語り、玄人は兵站を語る」と言われているほど重要なテーマです。

戦略と戦術、兵站について書き始めますと非常に長くなりますので、興味のある方は下記のサイトをご覧下さい。
軍事学に興味がないと難しいかもしれませんが、比較的まとまっています。

戦略と戦術について 幸茸のブログ 戦略に対する戦術の地位――名将達が戦術的成果を重視したのはなぜか こちらから

兵站について ニコニコ大百科 兵站 こちらから 

勿論、戦争と経営は異なることから経営書の著者が兵法や軍事学に精通されている必要はないとも言えますが、兵法や軍事学に精通していないのならば、安易に戦略や戦術と言った言葉を使うべきではなく、読者を混乱させるだけでしかありません。しかし、書店の店頭に並ぶ本の多くは、兵法や軍事学の素人が戦略や戦術と言った言葉を乱用している気がします。

現場において求められるのは、抽象的な理論や精神論ではなく、具体的な方法論ですが、抽象的な理論や概念を具体的な方法論にまで落とし込むことは簡単なことではありません。実際の現場では理論通りには行かないのが日常であり、それに対応できなければ、机上の空論となります。

占いでもこの卦を得たから大吉であり、この卦を得たから大凶であると杓子定規に解釈していたらプロとしては失格となります。霊感や直感を頼りにした占いは別として、四柱推命や易、西洋占星術、タロット、トランプなどにはそれぞれ理論体系があります。一般の方からするならば、荒唐無稽とも思えるような理論体系ではありますが、その理論体系を理解していないとカードの意味や易経に書かれた言葉にとらわれて現実を無視した判断をする結果となります。

これは、経営や社員教育においても同じであり、戦略や戦術は現実の戦争の中から生まれた理論ですが、理論として成立すると理論だけが独り歩きすることはよくあります。これは宗教でも同じですが、現実を無視するならばどんな優れた理論も机上の空論となってしまいます。

at 22:57, 星 良謙・子授け地蔵, 占いの話

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