近代スピリチュアルリズム百年史2(星)
ツイン・ソウル、ソウル・メイト、ハイヤー・セルフと言った言葉を誰が使い始めたのかを暫く前から調べていますが、調べれば調べる程、分からないことが増えて混乱しました。その理由は、ニューソートとニューエイジが同じような使われ方をしているだけでなく、ニューエイジに関しては言葉の定義も曖昧な事から非常に分かりにくくで困惑してました。更にスピリチュアルリズムや神智学との違いも分かりにくいだけでなく、これらの思想はいずれも東洋の神秘思想の影響や心理学の学説を取り入れるなどしていますので、調べれば調べる程混乱する状態が続きました。
これらの思想は、相互に影響しているだけでなく、違いも不明確であり、同じ人物がニューソートとニューエイジの代表的な人物とされていることもありました。そのため、改めて言葉の定義から始めるべきかと思いました。
〇スピリチュアルリズム
ウィキペデアの解説が一番簡潔で分かりやすいことから引用させて頂きます。
心霊主義(しんれいしゅぎ)は、スピリチュアリズム(英: Spiritualism)、スピリティズム(英: spiritism)の和訳のひとつで、人は肉体と霊魂からなり、肉体が消滅しても霊魂は存在し、現世の人間が死者の霊(霊魂)と交信できるとする思想、信仰、人生哲学、実践である。Spiritualismは心霊術、交霊術、心霊論、降神説などとも訳される。
霊魂の死後存続や死者との交流という信仰は世界中に見られるが、心霊主義(スピリチュアリズム)という言葉は、19世紀半ばにアメリカで始まったものを指すことが多く、死後の世界との交信や超能力のパフォーマンスを焦点とする「宗教運動」とも理解される。霊魂との交信は交霊会(降霊会)と呼ばれ、霊媒が仲立ちとなることが多い。近代の心霊主義は19世紀後半に全盛期を迎えた。
少し補足しますと、スピリチュアルリズムが台頭した背景には、産業革命以降の社会情勢があります。近代自然科学の発達や啓蒙主義の普及したことに対してキリスト教が対応できずに社会的な権威が低下したことがあります。また、産業革命以降の消費文化の拡大したことも影響しているようです。
心霊主義は、個人としての人間の完成と幸福を目指す近代の「自己宗教」としての側面を持ち、建設的で明るい社会改革運動でもあり、奴隷制度廃止運動や女性参政権獲得の運動とも関わりがある。理想社会(世俗的千年王国)をこの世に実現しようとする点において、ユートピア運動、社会主義(空想的社会主義)との関係も深い、社会精神史的には、当時科学として大きな影響力があった骨相学とメスメリズム(ヒプノティズム、催眠術)、この両者が融合した新しい精神科学・骨相メスメリズムに直接つながる。近代神智学の創始者ヘレナ・P・ブラヴァツキーはもともと心霊主義の霊媒であり、互いの影響は深く、近代神智学はW・B・イェイツの詩作やカンディンスキーらのモダニズム絵画への影響も大きかった。また19世紀後半には、心霊主義の心理学化という流れが起こった。心理学者カール・グスタフ・ユングの出発点には心霊主義があり、この流れは深層心理学につながる。
多分にキリスト教の衰退に伴って起きた心の隙間をスピリチュアルリズムが埋めたと言えます。
このことに関して、「近代スピリチュアルリズム百年史 その歴史と思想のテキスト」から少し引用させて頂きます。
一方では、キリスト教の方は、時代の動きに応じなかったので、世の法則どおり、やがて衰退から破滅への道をたどりました。つまり、協会は今日の唯物主義全盛の母体となった科学に背を向けたため、大衆の魅力を失ったのです。というよりも、教会はその内部に破綻の種子をはらんでいたと言えます。つまり、今日の教会はその実体が、きわめて唯物的で堕落しており、そのため、教会本来の霊的教義から見て、幾多の批判がその内部に起こっていたのです。教会はあくまで古い殻に閉じこもっていました。だが、世の中は年とともに新しくなっています。
心霊主義は人類の歴史とともに古いものですが、現在では、理性と科学の光の下に、この新しい解釈が下されることになりました。今や、新しい哲学、新しい宗教が、民衆の手により、民衆の家庭から生まれていったのです。これは昔のように、お坊さん達の専売事業ではありません。また、教会の権威の具となるものでもありません。これこそは、科学的民主的な民衆にとって、科学的民主的な宗教の基礎となるものです。こうしてスピリチュアルリズムが台頭してきました。すると、教会は一層古い殻を固くし、更にはことごとに、この新時代の真理の普及運動に邪魔を始めたのでした。
近代スピリチュアルリズム百年史 その歴史と思想のテキスト P45
この本の中では、キリスト教を唯物主義であると批判していますが、この辺の事情はキリスト教の教義を理解していませんと、事情が分かりにくいと思います。管理人にしてもキリスト教に関しては、あまり知りませんので、話が今一つ分かりませんでした。
そのため、キリスト教の教義をご紹介したいところですが、その前にスピリチュアルリズムが何を説いているのかを先にご紹介します。
あのスピリチュアルリズムの七要綱は、実に夫人の霊能を通じて受信されたものです。これは後に、全国スピリチュアルリスト連合で採択されています。この七要綱の発信者は社会主義のロバート・オーエンとされています。それを次に挙げます。
1.神は万物の祖である。
2.人類は皆同胞である。
3.霊魂との交通及び天使の守護がある。
4.人間の霊魂は死後も存在する。
5.自己責任の法則が存在する。
6.地上の全ての善悪の行為に対してつぐないと応報とがある。
7.あらゆる霊魂は向上する。
近代スピリチュアルリズム百年史 その歴史と思想のテキスト P92
NSAは現在のアメリカにおける最大のスピリチュアルリズム団体です。その付属団体には次のようなものがあります。役員協会、全国スピリチュアルリズム教員クラブ、伝道師クラブ、治療家連盟、青少年連盟、会員は次の原則の誓いを守ります。
(1)我らは無限の知恵を信ずる。
(2)我らは物的、霊的を問わず自然の現象は無限の知恵の現れであることを信ずる。
(3)我らは、この現れを正しく理解し、かつそれに従って生活することが真の宗教であることを確信する。
(4)我らは各人の個性が死という変化の後にも、なお変わらずに存続することを確信する。
(5)我らは死者との交通が事実であり、しかも心霊現象によって科学的に証明されることを確信する。
(6)我らは最高の道徳は「汝の人にせられんと欲することを、人に行え」という金言の中にあることを信ずる。
(7)我らは各人に道徳上の自己責任のあること、及び自己の幸、不幸は大自然の方に従うか否かによって決まることを確信する。
(8)我らは向上の道は何人にも顕幽を通じて開かれていことを確信する。
近代スピリチュアルリズム百年史 その歴史と思想のテキスト P160-161
※この本の訳者は、「交通」とされていることから、そのまま引用しましたが、恐らくは霊魂との交信の意味ではないかと思います。
※顕幽(けんゆう) あらわれたり、見えなくなったりすること
心霊世界の実在を提唱していることは分かりますが、キリスト教の教義にある程度精通していませんと、スピリチュアルリズムの主張を理解することが難しいと思います。管理人にしてもどこまで分かっているのかと言われますと、どれだけも分かっていないと思いますが、このスピリチュアルリズムには少しばかり危険性を感じます。そのことに触れますと、長くなりますので、次回の投稿で取り上げたいと思います。いずれにしても、このスピリチュアルリズムが大きな力を持ち、後の神智学やニューソート、ニューエイドの考え方になったと思われます。
次回に続きます。
星
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at 01:34, 星 良謙・子授け地蔵, 霊感・霊能力について
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