霊界通信の検証9(星)
前回に引用させて頂いた「トンデモさんの大逆襲!」からの引用から始めたいと思います。この本は、1997年10月の発刊と古い本ではあるだけでなく、扱っているテーマは、世間から相手にされていない発明家や科学者を取り上げている本ですので、霊能力とは無関係な内容です。しかし、今回ご紹介する話は、そのまま霊能者の話にも通じる話であることからご紹介させて頂きます。
こうした人たちを説得し、信念を変えさせるのは、事実上不可能である。僕はアダムスキー信者をはじめ、何人ものトンデモさんと議論した経験から、思い知っている。たとえば「超能力は存在しない」と説明することは不可能だ。せいぜい、ある超能力者が何度かトリックを証明できるぐらいである。サイババがトリックを用いて手から物を出した決定的瞬間をビデオで見せられても、肯定論者は動じない。「たまたまこのときだけトリックを使ったんでしょう」などと言い逃れる。いったいどれだけの数の証拠のビデオを見せられたら、彼らは「サイババはインチキだ」と納得するのか?
いや、おそらくは永遠に納得はしないだろう。先頃亡くなられた超常現象研究家の太田原治男氏は、あるエッセイでこう書いていた。
「奇術師であることが完全に証明されたMr.マリックの場合でさえ、まったく超能力を使用していないと断定するのは危険である。」
そりゃまあ、確かにマリックが超能力をまったく使っていないと証明することはできませんよ。てきないけど……それを言ったら、ナポレオンズやゼンジー北京や引田天功だって、超能力を使っていないという証明はできないんだけど。
中略
では、かれらの信念はどこが間違っているのだろうか?
彼らが共通して犯している誤りは、「説明」と「証明」の区別がついていないことである。
中略
彼らは「××という現象は〇〇説で説明がつく」ことから「〇〇説は証明された」と考え、「〇〇説は正しい」という結論に飛躍する。「間違っていると証明できない」ことと「正しいと証明された」こととの間には、途方もない大きなギャップがあることを、彼らは理解できない。
通常の科学の世界では、そうはいかない。証明されない説は、ただの仮説にすぎず、事実とは認められない。たとえばアインシュタインの相対性理論は、最初、さまざまな物理現象を「説明」する仮説として導入された。だが、世界中の科学者が即座に事実として受け入れたわけではない。多くの実験や観測を重ねることにより、正しいと信じられるに至ったのである。「光速に近づくと時間の流れが遅くなる」という驚くべき予言も、時間の遅れの直接の証拠であるドップラー効果の観測により、正しさが証明されているのだ。
だが、こうした理屈を述べてみても、トンデモさんたちには馬耳東風だろう。何しろ彼らは、そうした正統派の科学の手続きそのものをバカにしているのだから……。
トンデモさんの大逆襲! 宝島社 P223-224
著者の山本弘氏は、冒頭でトンデモさんと呼ばれる人々を説得することの難しさを書かれていますが、これは霊能者や霊能力を過信している人々にも言える話です。管理人もこれまでに何人かの霊能者や霊能力を持つ方とお話しさせて頂く機会を得ましたが、自分が日本を守っていると言った話をされていた方が何人かいました。自分が日本の各地に結界を張っているとか、自分の弟子が結界を破ってしまったから大地震が起きたとか、自分が日本の政治を動かしているなど実に様々でした。また、霊能者の書かれた本などを読んでいますと、更に話は飛躍していました。自分に呼び出せない神霊はいないと豪語される方もいましたし、過去世はムー大陸の国王であったとか言う方や自分は釈迦の生まれ変わりであると公言されている新興宗教の教祖もいました。
超科学(科学理論と称しているが、結論にいたる過程に著しい誤り、 逸脱が認められ、到底科学とは呼べない理論)の場合には、間違いを指摘する事は可能であり、超常現象の場合には、起っている現象を科学的に解明することは可能な場合もありますが、霊能力の場合には、間違いを指摘できることは限られます。実在した人物の霊言の場合には、内容に間違いがあれば、指摘は可能ですが、それ以外の話は難しいと言えます。
霊能者の方がどのような結界を張っているのかを聞くことも有りませんでしたが、神社仏閣の方位除けや火災除け、盗難除けのお札を張ることも結界を張ると言えますので、全く無意味とは言い切れません。また、自分は釈迦の生まれ変わりであると公言されている新興宗教の教祖と話す機会もありませんが、その教祖が釈迦の生まれ変わりではないと否定できる根拠は何もなく、釈迦の生まれ変わりであるならば、間違えることがないと思われる間違いを指摘する程度のこととかできません。
結局のところ、霊能者や霊媒の言う事を信じるか信じないかの問題であり、その話を信じている人の信念を変えさせることは、カルトから信者を抜けさせるのに似た難しさがあります。カルト教団の教えを盲信している信者に、その教団の教えは間違っていると間違いを指摘しても、洗脳を解くことができないだけでなく、指摘すれば指摘するほど、相手は心を閉ざして教団の教えを盲信することになるとの話もあります。
人間は誰でも自分の信じていることを否定されることは気分の良い話ではありませんが、自分が正しいと信じ、多くの時間とお金を費やして学んだ教えが間違いであると否定されるならば、それまでの労力や経済的な負担がすべて否定されることになることから認めたくない気持ちが強くなります。また、カルト教団にのめり込む方の多くは、孤独感を持つ場合が多く、カルトに加入することで同じ価値観を持つ仲間を得られる安心感が得られることもカルト教団から脱会することを難しくしています。更に、カルト教団に入信することで自分は選ばれた人間であり、世の多くの人々を救う崇高な使命を帯びた人間であるとの優越感に浸っている場合も少なくないようです。
これらの心理は、カルト教団に限らず、霊能力に溺れる人間にも共通していることであり、霊能力を持つことで自分は選ばれた人間であり、自分は世間の人々とは異なるとの優越感を持っている傾向が見られます。個人的には、霊能力があっても日々の生活に役立つことは皆無に近く、霊能力があることよりも英語が堪能であることの方が余程実用的であり、仕事にも役立つと考えています。逆に霊能力があるために不成仏霊の影響に悩まされることの方が多く、霊能力があることの利点はほとんど感じていません。
ただ、若い頃から不成仏霊の障りに悩まされていたことからいつの間にか霊障に詳しくはなってしまいましたが、長年の試行錯誤の結果であり、それだけ霊障に悩まされてきただけの話です。もし、簡単に霊障の原因を見抜き、対策を教えて頂ける霊能者がいたならば、全く違った人生を生きていたと思いますが、残念ながら出会った霊能者は、今回引用させて頂いた話と同じ間違いをしていました。
つまり、「××という現象は〇〇説で説明がつく」ことから「〇〇説は証明された」と考え、「〇〇説は正しい」という結論に飛躍していた方が大半でした。そのため、引用させて頂いた話は、素直に納得できました。「証明されない説は、ただの仮説にすぎず、事実とは認められない。」とありますが、これもその通りだと思います。無責任だと思われるかもしれませんが、基本的に霊能力で得られた情報はすべて仮説だと考えています。これは占いにしても同じであり、占いの結果もすべて仮説であると考えています。しかし、霊能力の世界は、検証が困難であり、証明することは事実上不可能と言えます。そのため、仮説の積み重ねで判断するしかない状況ではありますが、仮説ではあっても状況証拠の積み重ねで信頼性は高めることは可能です。
このブログでも心霊現象について書くことはありますが、基本的には仮説と状況証拠の充重ねから得られた知識です。霊障の原因を探り始めた頃に霊障の主な原因は先祖ではないかと考え始め、先祖供養が霊障の解消に効果的ではないかと考えました。そして色々と試行錯誤を繰り返しところ、自宅の宗旨で供養する方が効果的であると考えましたが、これらはすべて仮説と状況証拠の積み重ねでした。しかし、状況証拠ではあっても経験が積み重なれば、信頼性は高まります。
この繰り返しを長年積み重ねたことで色々な事が分かって来ましたが、「××という現象は〇〇説で説明がつく」だけの話であり、何一つとして証明はできないことばかりです。そのため、霊能者の方のように霊界の法則について雄弁に語ることはできませんし、霊界の様子についても語ることができるのは限られた内容だけです。別に科学的な手法にこだわる気持ちはありませんが、「××という現象は〇〇説で説明がつく」ことから「〇〇説は証明された」と考えるならば、管理人が見て来た霊能者と同じ末路を辿ることになると思います。
管理人が求めているのは、霊障の原因と解決策であり、霊界の知識ではありません。霊界の構造は〇〇であり、生まれ変わりの仕組みは××であると雄弁に語ることは簡単でしょうが、「××という現象は〇〇説で説明がつく」だけの話であり、誰にも証明できない話でしかないと考えています。
星
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at 10:18, 星 良謙・子授け地蔵, 霊界通信の検証
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